2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

a toy calculus of actions(7):もう一つの比喩

1. 前回の続き。 まず、問題として現れたのは、stative verbに可能な、次の機能であった。 「持続的な事象を、幅のない時点に関して述べる」ー これを「ある時点を、事象が持続する期間の一部として示す」機能だと捉え直してみよう。そうすれば、文面から受…

a toy calculus of actions(6):時点と持続

1. "a toy calculus of actions(1)" で挙げた、進行相の特徴を振り返りながら、「微積分への類比」の意義、あるいは効用について考えてみたい。 そこでは、説明が欲しくなるような特徴を7つほど挙げていた。 ① imperfective paradox ②「していないけれど、し…

a toy calculus of actions(5):彼は何をしている?

1. 前回の補足から。「aはtにhしている」に対応する式を、 act(a,t,h) ≔ ∃d∃d₁∃F∃D[ Ă(a,t,d) & m(d,d₁) & d₁=F '(a,t) & ∀t₁≤t∀d₂(Ă(a,t₁,d₂)→∃d₃(m(d₂,d₃)& d₃=F '(a,t₁))) & ∃t₂>t(F(a,t₂)=D) & Cr(D,h)] としたが、これでは不十分ではないか。 なぜなら…

a toy calculus of actions(4):システム(続き)

1. 前回、われわれの日常言語における行為の記述と、例の「言語」の式の意味するものとの違いについて簡単に触れた。 すでに前々回、当ブログのこの試みが、われわれの日常言語のモデル作りを目指すようなものではないことについて説明した。 従って、行為の…

a toy calculus of actions(3):行為の二次元的表示

1. 前回、架空の言語を構想するにあたって、行為というものを、ある期間に亘って展開される出来事、過程と捉えた。 そして、次のように仮定した。その過程の個々の時点において、その時点にされている<動作>を見出すことができる、また、個々の時点で、そ…

a toy calculus of actions (2):システム

1. 前回の続きで、進行相と微積分との類比について考えるための方法を探している。 その一つとして、ウィトゲンシュタインの言う、「比較の対象としての言語ゲーム」を構成し活用することを試みよう。 われわれの明瞭で単純な言語ゲームは、言語を規制するこ…

a toy calculus of actions(1):進行形と微分演算子

1. 前回までKlein のテンス・アスペクト論を紹介する中で、 広義の<imperfective aspect>を特徴づける性格(の候補)として、 「描出されたsituation を、より大きな全体的situation の部分として提示する」 が浮上してきた。 (そのような性格は、一部の「叙想的テンス」の使用に</imperfective>…