2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

第四種動詞の周辺(10)

1. 習慣相の説明のところで、Kleinの "habitual"という概念を紹介し、そのポイントが複数のTopic time(TT)を表現する点にあることを説明した。 そこには、まだ不明瞭な部分が残っている。Time of utterance(TU) と、それら複数のTTとの関係である。 habitual…

第四種動詞の周辺(9)

1. 野田高広は、広義での習慣を表わしながら、現在時制でル形の容認度が低い、つまりル形習慣文を取りにくい動詞群の存在を指摘している。例としては、<通う、付き合う、暮らす、住む、定期購読する、営む、愛用する、養う>等である。(cf. 野田「現代日本…

第四種動詞の周辺(8)

1. ここまで扱ってきた「イタリア北部にはアルプスの山々がそびえる。」「南北に約750㎞、東西約120㎞のエリアに26の環礁が浮かぶ。」といった文は、習慣を表わす文とは異なり、繰り返される事象を表現するものではない。そのためか、西田論文には、これらの…

第四種動詞の周辺(7)

1. 西田光一「恒常的状態を表す日本語動詞の語用論的分析」の内容について見てゆく。 西田が挙げた例を再掲する。(p1.下線は西田による) (1) 駒ケ岳<雫石町> 火口内には女岳の中央火口丘と爆発跡がみられる。火口壁の外側、男岳北方には阿弥陀池を挟んで…

第四種動詞の周辺(6)

1. まず、「属性叙述」とは、どのようなものか? 文による叙述に2つの対立的な様式が認められるという見方を、国語学/日本語学において導入したのは、佐久間鼎である。佐久間は、叙述の働きをする文を「いひたて」の文 と呼び、その内に、「物語り文」・「品…