2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

日常言語との距離

前回の補足。 (例えば)「分度器による角の三等分」と、「定規とコンパスによる角の三等分」を峻別しようとした中期の視点は捨て去られたわけではない。 両者を無自覚に同一視することは哲学的混乱を生むであろうからだ。 「角の三等分」という概念のもとに…

類比の復権

1. 前々回、前回、見たように、「規則の適用」という概念に、事実として「揺らぎ」が存在する限り、後期ウィトゲンシュタインの姿勢からして、中期の立場は受け入れることのできないものである。そのことを改めて確認しよう。 中期の立場では「95+167=?」…

計算することと計算しないこととの間

1.われわれは規則に従う実践―例えば計算―に携わる。―そして、われわれはときに「し損なう(誤る)」。 だが、「誤る」とき、われわれは、それでも計算しているのか?なぜ「計算間違い」であって「計算しないこと」ではないのか? 円環の閉じられた世界、すな…

計算の揺らぎ

1.実際のところ、われわれが使用する「規則の適用」という概念には、いくらかのあいまいさ(緩さ)がある。これは重要な一般的事実である。 では、私が、規則・・・に従い、・・・を加えた結果であることが、数・・・の性質である、というとしたら?―したが…