2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「説明」の周辺(17):“enormously important for all philosophy”

1. ここまで、「表情」に関連する問題を、ウィトゲンシュタインのテクストからいくつか取り上げてみた。 以前見たように、「表情」と(知覚的)「アスペクト」とは類縁性のある概念だと言える。現にウィトゲンシュタインも、この2つを結びつけている(cf. P…

「説明」の周辺(16):「驚き」の行方(後)

1. <驚き><注意を引かれる>は、前回の例とは異なった方向に向かうことがある。 『茶色本』から。 ウィトゲンシュタインは、手描きの顔の絵を示して言う。 この顔が君にある印象を与える。そこで君は、「確かに、私が見ているのは単なる線ではない。私は…

「説明」の周辺(15):「驚き」の行方(前)

1. 前々回、ウィトゲンシュタインが、「意味」「感じ」「考える、期待する、願う等の行為」といった捉えがたい、「心的な」事象 を考察する際に、それらに関する「表現」をそれらの事象と同列に置いて考察するよう勧めているのを見た。 彼は、知覚的アスペク…

「説明」の周辺(14):「記述」の観念

1. ウィトゲンシュタインは、なぜ、美学的対象の「表情」と、それに対する主体の反応としての「表現」とを「同列に置いて」考察しようとするのか、というのがわれわれの問いだった。 その意図を推測してこの場で十分に描き出すのは困難である。が、まずは、…