2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「説明」の周辺(26):「体験される、言葉の意味」の諸相

1. ウィトゲンシュタインの美学に関する考察を取り上げる中で、「表情 Ausdruck, expression 」が重要な概念として浮上してきた。 我々が美学的対象について話す場合(例えば)芸術作品そのものについて語る場合もあれば、作品の「表情」、与える「感じ」「…

「説明」の周辺(25):一瞬の理解

1. 表情の想起や理解が一瞬で行われることについて、ウィトゲンシュタインは、「すべての哲学にとって法外に重要」と評していた(LCA, p31)。そのことをきっかけに、「一瞥性」の問題への手掛かりを、ここまで様々な所に探ってきた。 振り返ると、『探究Ⅰ』の…

「説明」の周辺(24):過程に自ずから現れるもの

1. 前回、言葉の意味の瞬時的把握 と 表情の一瞥的認知 を類比した。 その類比の周辺にある、平凡な事実の数々を確認しておく必要がある。 前者では、極めて短時間の「理解する体験」によって、その言葉がどう使われるか、どう使うべきか、が知られる。知ら…

「説明」の周辺(23):“It clicks, it fits.”

1. 前回からの流れで、「閃き」に類比される美学的体験(反応)について。 一つの作品の持つ、新たな次元に目を開かれるような体験。それが一瞬の内に起こった時、それはアスペクトの閃きに類比できるであろう。 あるいは、作品の新たな解釈を見出して、それ…