2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「説明」の周辺(32):いつ「合う」と言うのか?(後)

1. 「合うpassen」、「できる」、「理解する」の文法。問題:1)シリンダーZが中空の筒Hにぴったり合う、といつ言うのか?ZがHにはめ込まれている間だけか?(PI 182、鬼界彰夫訳) シリンダーに関するウィトゲンシュタインの問いかけが、さりげなくも興味深い…

「説明」の周辺(31):いつ「合う」と言うのか?(前)

1. 「ぴったり合うpassen」については、もう一つ指摘しておきたいことがある。 ウィトゲンシュタインは、さりげない口調で、気になることを述べている。 「合うpassen」、「できる」、「理解する」の文法。問題:1)シリンダーZが中空の筒Hにぴったり合う、と…

「説明」の周辺(30):概念の瘤

1. 前回まで、問題にしてきた「表情」に関する言明― その中でも「意味の体験」に関する言明について、それに対するウィトゲンシュタインの姿勢を、簡単にメモしておきたい。 (ここでは、さまざまな事例を一まとめに扱ったため、大雑把な総括になっている。…

「説明」の周辺(29):「数列の表情」?

1. 前回、ある語の「感じ」「雰囲気」と、その語の使用とを分離できるか、という問題を見てきた。「感じ」が、その使用から分離できるか否か、という問いは、両者のつながりが経験的なものか、論理的なものか、という問いでもある。 だが、はたして「これら…

「説明」の周辺(28):表情を名指す

1. ここまで、ウィトゲンシュタインの『美学講義他』に倣うつもりで、顔、芸術作品、言葉等の対象がもたらす「印象」をそれぞれの「表情」として捉え、感覚を基盤として対象と主体との界面(インターフェイス)をなすものと見なした。 そして「表情」の様々…

「説明」の周辺(27):「意味の体験」と「熟知性」

1. 「私には、‘シューベルト’という名は、シューベルトの作品と彼の顔にぴったりしているかのように思われる」(PPF270)という現象 、あるいはそのような言表― それが、ウィトゲンシュタインにとって、なぜ、どのように、問題となるのか。 後期ウィトゲンシュ…